ご挨拶

 群馬県内の小児外科診療の歴史は深く、旧群馬大学第一外科初代石原恵三教授の時代(昭和29年)より小児外科診療がはじめられ、松山四郎先生のご尽力でさらに群馬県内の小児外科は発展を遂げ、昭和57年の群馬県立小児医療センター開院にも協力して参りました。昭和63年からは小児医療センターでの診療に主軸をおいていましたが、第三代桑野博行教授就任の平成10年より大学での小児外科診療の再構築が行われました。当初は旧群馬大学大学院病態総合外科学(第一外科)講座内の小児グループにて組織されていましたが、平成27年4月より外科診療科統合再編に伴い「小児外科」として独立した診療科となり、平成29年4月より大学院講座統合再編に伴い大講座制を取り入れ総合外科学講座が開講するに伴い、その一分野として小児外科学分野が誕生しました。

 小児外科で扱う病気は成人の病気と異なり、小児特有の病気が多く、また、小児の体は成長・発達の途中にあるため臓器の機能が未熟でもあります。したがって、小児の手術は小児の外科疾患と小児の特殊性についての専門知識を持ち、専門のトレーニングを受けた小児外科医が行うことが本来望ましいと思われます。

 小児外科医の担当する範囲は脳および心臓以外の全身臓器で、疾患も多岐にわたります。当科ではからだへの負担が少なく、成長の妨げとならない体にやさしい手術、特に内視鏡外科手術に積極的に取り組み、術後の体幹変形等による心の傷をも残らない治療に心掛けています。

 すべての患者さんとそのご家族に信頼される質の高い小児外科診療を提供できるよう、日々診療、研究、教育に励んでおります。皆様の温かいご支援をよろしくお願い申し上げます。

沿革

  • 昭和29年:小児外科診療開始
  • 昭和33年:先天性小腸閉鎖症の手術に成功(本邦5例目以内)
  • 昭和37年:食道閉鎖症の手術に成功(本邦10例目以内)
  • 昭和57年:群馬県立小児医療センター開院

 –以降は小児医療センターと大学とでの小児外科診療

  • 平成10年:池田均先生が獨協医科大学越谷病院(現・獨協医科大学埼玉医療センター)小児外科教授就任
  • 平成22年:黒岩実先生が東邦大学医療センター大森病院小児外科教授就任
  • 平成27年:小児外科が診療科として独立
  • 平成29年:群馬大学大学院総合外科学講座小児外科学分野が設立